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手術支援ロボット ダビンチXi

da Vinci Xi - 手術支援ロボットの紹介

手術支援ロボットであるda Vinciは米国のインテュィティブサージカル社が開発したロボット支援手術機器です。全世界でロボット支援手術が普及しており、世界で9200台以上のダビンチサージカルシステムが稼働しています(2024年6月現在)。本邦においても、2009年に薬事承認を得て、2012年に前立腺がんに対して初めて保険適応となり、現在では全国で750台以上が稼働しています。ロボット支援手術数の増加とともに、肺がんや大腸がんなど保険適応疾患が急速に増加しており、今後も多種多様な疾患への応用も期待されています。

手術における患者さんの身体的負担を軽減できる低侵襲手術である胸腔鏡下手術・腹腔鏡下手術(鏡視下手術)が導入され30年以上が経過しましたが、近年の高度なロボット工学技術により、従来不可能とされていた方向からのアプローチや自在で細密な動きによる複雑で繊細な操作を可能にしたのが「ダビンチ」によるロボット支援手術です。その優れた特徴により、手術を受ける患者さんはもちろん、我々医療者にとっても大きなメリットをもたらしています。

ダビンチは、ペイシェントカート・サージョンコンソール・ヴィジョンカートの3つの手術機器から構成されています。執刀医である医師はロボットのアームについているカメラや鉗子を遠隔操作して手術を行います。ダビンチのみで手術が実施されるわけではなく、患者さんの傍には助手である医師や看護師などが手術進行の補助を行い、チームで協調しながら手術をすすめていきます。

1. ペイシェントカート

手術を受ける患者さんに接続する機器です。4本のアームで構成されています。1本には高画質で立体的な3Dハイビジョンカメラが取り付けられ、その他3本のアームにはロボット専用鉗子を取り付けられます。4本すべてのアーム操作は、術者の手の動きを正確に再現しながら手術をすすめていきます。

2. サージョンコンソール

執刀する医師が操作する機器です。術者は、1本のアームに取り付けられているカメラを操作して、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像をみながら、その他3本のアームに取り付けられた鉗子も全て術者が操作します。自由自在に動く鉗子は360°以上回転し、手首や指の関節可動域以上の動作が可能で、手振れも補正されているため、柔軟かつ繊細な動きが可能です。従来の鏡視下手術で不可能であった複雑な手術操作も可能になりました。

3. ヴィジョンカート

手術支援ロボットであるダビンチのあらゆる機能をつかさどる中枢となる機器です。ペイシェントカートから送られてくる手術中の画像から最適な画像を作成します。カートのモニターには手術中の様子が高画質に反映され、サージョンコンソールで操作する術者以外のスタッフもリアルタイムに手術内容が把握可能です。また、モニターはタッチスクリーンなので、指で線などを描くことで術者に視覚的な情報を伝えることも可能です。さらに、高性能電気手術装置が搭載されており、さらなる出血量軽減の一助になっています。

ロボット支援手術のメリット

ダビンチによるロボット支援手術は、鏡視下手術と同様に傷口が小さい低侵襲手術です。ロボットの正確な動作により安全で精密な手術が行えるため、手術成績の向上が期待されています。従来の開胸手術や開腹手術と比べ、通常の鏡視下手術と同様、傷が小さく痛みが軽減され、手術後の回復が早い、出血が少ないなど下記のような利点が報告されています。患者さんだけでなく、医療者にとっても多くの利点が挙げられます。

患者さんへの利点
  • 傷口が小さいため、疼痛が少ない
  • 出血量が少ない
  • 術後の回復が早く、社会復帰が早い
  • 臓器機能温存が向上される可能性
  • 精密な操作により根治性が高まる可能性
  • 合併症が少ない
手術操作上の利点
  • 手術画像の質が良い
  • 体の中の狭い空間でもスムーズな操作が可能
  • 手振れが改善
  • 術者の肉体的・精神的ストレスが軽減

ロボット支援手術には問題点も存在します。「手術器具で触れた感触が伝わらないこと」、「セッティングにやや時間を要すること=手術時間が若干長くなること」、「緊急事態の対応には豊富な経験を要すること」「機器類が非常に高価」、などです。しかしながら、これら問題点を解決すべく、医師だけではなくロボット支援手術チーム全員で日々トレーニングを積み重ねています。より安全で正確な手術が提供できるよう、しっかりとした教育体制を整備しています。

当院の診療体制

当院では、医師・看護師・臨床工学技士などによるロボット支援手術チームを結成しており、安全に手術を導入・実施するために十分なトレーニングを行ってきました。鏡視下手術に卓越した専門医がロボット支援手術のトレーニングを行い、今までつちかってきた技術と経験に基づき、それぞれの患者さんやそれぞれの疾患に応じた精密な手術を提供します。

実際、手術の執刀はインテュィティブサージカル社の認定ライセンスをもった医師が行い、看護師や臨床工学技士など手術に関わる全てのスタッフがロボット支援手術のトレーニングを受けており、いかなる状況にも正確な対応ができるように尽力しています。

当院で行っているロボット支援手術

近年、がんに対する手術において、患者さんの体への負担が少ない低侵襲手術が注目されています。低侵襲手術とは、従来の開腹手術に比べ、傷が小さく、出血が少ないなど、患者さんの体への負担を軽くし、早期社会復帰を目指した手術のことです。がんを完全に取り除く根治性とともに、これら低侵襲性が重要であると考えられるようになりました。鏡視下手術が広く普及した現在、ダビンチなどの手術支援ロボットの出現により、低侵襲手術は飛躍的な進歩をとげています。

当院では、呼吸器外科領域では肺悪性腫瘍および縦郭腫瘍(良性・悪性)、消化器外科領域では大腸がん(直腸癌・結腸癌)、婦人科領域では良性腫瘍の子宮全摘術に対してロボット支援手術を導入しています。今後も、胃がんなどの消化器外科疾患をはじめ、腎泌尿器科領域など順次適応範囲を拡げていきます。なお、全ての手術を手術支援ロボットで行えるわけではなく、疾患によってはロボット支援手術の適応外となる場合もあります。適応疾患や費用などの詳細につきましては、各診療科スタッフにお問い合わせください。

ロボット支援手術を希望される患者様へ

ロボット支援手術に関する相談および予約は、地域医療連携室で受け付けております。地域連携室に直接電話あるいは紹介状のFAX送信をお願いします。初診時には、地域医療連携で予約をしていただい後、紹介状や画像などの資料を持参して頂きますとスムーズに診察を行うことが可能です。

患者様向けパンフレット

お問い合わせ

患者さん:
がん相談支援センター
医療機関の方:
地域医療連携室

※「ロボット手術について」とお問い合わせください。

別府医療センター
がん相談支援センター/地域医療連携室

TEL: 0977-67-1111 FAX: 0977-67-2306
受付時間: 9:00〜17:15 月~金(休日、年末年始を除く)

ロボット支援手術の担当医師

呼吸器外科:
岡本、福山(火・水・金)
消化器外科:
吉田、川中(月、水、木)
婦人科:
竹内(火・金)

(2024年11月)