肝胆膵センター
肝胆膵センターのご紹介
肝臓・胆道(胆管・胆嚢)・膵臓は、いずれもおなかの深部に位置し、互いに近接していることから、これらの臓器に発生する疾患は「臓器の交差点」とも呼ばれる領域に関連しており、病気同士が相互に影響を及ぼすことも少なくありません。このため、診療には高度な専門知識と豊富な経験が求められます。当院では、肝胆膵内科、外科、放射線科、病理部門などが一体となり、「肝胆膵センター」としてチーム医療を行っております。各専門分野の医師や看護師、コメディカルスタッフが連携し、定期的に多職種カンファレンスを開催しながら、患者さん一人ひとりに最適な治療方針を検討・決定しています。治療は、担当医を中心に内科・外科が連携して診療・経過観察を行い、必要に応じて手術・内視鏡治療・化学療法などを適切に組み合わせて提供いたします。また、かかりつけ医(ホームドクター)との情報共有も密に行いながら、地域全体で患者さんを支える医療体制を構築しています。気になる症状や検査結果がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
肝胆膵センターについて
肝胆膵センターは、肝臓・胆道・膵臓に関わる疾患に対して高度で専門的な医療を提供することを目的とした診療体制です。当センターでは、消化器内科(肝臓内科、胆道・膵臓内科)と肝胆膵外科の専門医が緊密に連携し、あらゆる炎症性・悪性疾患の診療に対応しています。
- 肝胆膵センター長
- 矢田 一宏(消化器外科部長)
- 肝胆膵副センター長
- 宮ケ原 典(消化器内科医長)
専門性資格取得者
- 日本肝臓学会肝臓専門医
- 川中 博文、鶴田 悟、吉田 大輔、正月 泰士
- 日本肝臓学会肝臓指導医
- 川中 博文、鶴田 悟
- 日本膵臓学会指導医
- 松本 敏文、矢田 一宏、宮ケ原 典
- 日本胆道学会指導医
- 宮ケ原 典
- 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
- 松本 敏文
- 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医
- 矢田 一宏
内科の診療体制
内科では、
- 日本肝臓学会専門医による肝疾患の専門的な診療
- 日本胆道学会・日本膵臓学会指導医による胆道・膵臓疾患に対する内視鏡診断・治療(ERCPやEUS関連手技など)
を中心に、高度な専門知識と豊富な治療経験をもつ医師が検査から治療までを一貫して行います。
外科の診療体制
外科では、日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医・専門医が在籍しており、肝切除・膵頭十二指腸切除などの高難度手術にも対応可能な体制を整えています。
チーム医療とカンファレンス
当センターでは、一人ひとりの患者さんに最適な治療を提供するために、内科・外科・放射線科・病理診断科が連携し、多職種合同カンファレンスを定期的に開催しています。各分野の専門家が集まり、画像・内視鏡所見・病理・治療戦略などを総合的に検討した上で、最も適切な治療方針を決定しています。
急性肝炎・急性肝不全
急性肝炎は、健康な肝臓に突然深刻な障害が起こり、短期間で肝機能が著しく低下する緊急性の高い疾患です。原因としてはウイルス性肝炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝炎などがあり、肝臓の機能が保てなくなる急性肝不全へ進行し命に関わる可能性もあります。
当院では、急性肝不全の早期診断と初期治療に重点を置き、可能な限り早い段階での病態の把握と治療介入を行っています。重症化が懸念される場合や肝移植が必要と判断される場合には、専門の移植医療機関と連携し、速やかに紹介できる体制を整えています。
慢性ウイルス性肝炎
慢性ウイルス性肝炎は、B型やC型などの肝炎ウイルスによって肝臓に炎症が起こる疾患です。急性で自然に治癒する場合もありますが、感染が長期間続くと「慢性肝炎」から「肝硬変」、「肝細胞癌」へ進行することもあり、早期の診断と継続的な治療管理が非常に重要です。近年、C型肝炎は内服薬による治療で高い治癒率が期待できるようになり、B型肝炎では適切な抗ウイルス療法でウイルスの増殖を抑えることが可能となっています
当院では、B型・C型を中心としたウイルス性肝炎に対して、血液検査や画像診断などを通じて、患者さん一人ひとりの状態を把握し最適な治療を行っています。
自己免疫性肝疾患
自己免疫性肝疾患は、体の免疫機能が自らの肝臓を誤って攻撃してしまうことによって生じる慢性の肝疾患です。代表的なものに「自己免疫性肝炎(AIH)」、「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」、「原発性硬化性胆管炎(PSC)」などがあり、進行すると肝硬変や肝不全に至ることもあります。
当院では、これら自己免疫性肝疾患に対しても専門的かつ継続的な診療を行っています。診断には血液検査や自己抗体の測定、画像検査、時には肝生検などを組み合わせ、正確に病態を把握します。治療は、免疫抑制剤や肝庇護剤の内服を中心に行い、病状を安定させることを目的とします。いずれも長期的な薬物療法や定期的な検査が必要です
脂肪性肝疾患
脂肪性肝疾患(MASLD・MASH)は、生活習慣病に関連しこれも放置すると肝硬変や肝細胞癌に進行する可能性があります。管理栄養士による栄養指導など生活習慣の見直しをサポートしながら、長期的な肝臓の健康を守ります。健診で脂肪肝を指摘された方は、ぜひご相談ください。
肝細胞癌
肝細胞癌の原因は、B型肝炎とC型肝炎(それぞれ約20~30%)、残りの半数はアルコールや肥満など非ウイルス性の脂肪肝炎が主体です。早期発見のため、メタボリック、糖尿病、肝臓の数値に異常がある人は定期的な受診をおすすめします。
肝癌診療ガイドラインのアルゴリズムに沿い、癌の進行度・肝機能により治療方針を決めています。
治療法は、(1)肝切除術、(2)焼灼療法(マイクロ波凝固壊死療法、ラジオ波焼灼術)、(3)肝動脈化学塞栓療法(血管内カテーテル治療)、(4)薬物療法、(5)放射線療法などがあり、当院ではすべての治療法に対応しています。肝機能が悪くて手術が不適応であっても、その他の治療ができる場合もありますので、遠慮なくご相談ください。
転移性肝癌・その他の肝腫瘍
転移性肝癌(大腸癌肝転移)
大腸癌肝転移ガイドラインでは肝切除が推奨されています。当院では、適切に評価を行い肝転移個数が多く肝切除困難な場合でも、全身化学療法と併用して切除を検討していきます。多発肝転移でお悩みの方は、肝胆膵外科にご相談くだい。
その他の肝腫瘍
巨大な血管腫、肝のう胞、胆管嚢胞腫瘍などがあり、治療が必要な場合もあります。肝胆膵センターに御相談ください。
胆道疾患
胆道疾患(胆石症・胆嚢炎・胆管炎など)
胆道疾患には、胆嚢内胆石、総胆管結石、胆嚢炎、胆管炎などの炎症性疾患が多くみられます。これらは腹痛や発熱、黄疸などを引き起こすことがあり、緊急性を要する場合も少なくありません。当院では、こうした胆道疾患に対して、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡下ドレナージ(EUSガイド下治療)といった低侵襲な内視鏡治療を積極的に行っています。また、腹腔鏡下胆嚢摘出術をはじめとした手術も外科と連携し迅速に対応可能です。内科・外科のいずれにご相談いただいても、診断から治療まで一貫した医療をご提供いたします。
胆道癌(胆管癌・胆嚢癌・乳頭部癌・肝門部領域胆管癌)
胆道癌には、胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌、肝門部領域胆管癌などが含まれ、いずれも診断・治療に高度な専門性を要する疾患です。正確な診断のためには、胆道内視鏡や細胞診・生検などの高難度検査が必要となり、治療においても、肝切除や膵頭十二指腸切除などの高度な手術が求められます。当センターでは、胆道・膵臓内科が県内有数の緊急胆膵内視鏡検査件数を担っており、肝胆膵外科も県北地域で有数の高難度肝胆膵外科手術数を誇ります。診断から治療まで、内科・外科が密接に連携し、患者さん一人ひとりに合わせた最適な医療を提供いたします。
急性膵炎
急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が起きる病気で、上腹部の強い痛みや背中への放散痛、吐き気、嘔吐、発熱などを伴います。原因としては、アルコールの過剰摂取や胆石が代表的です。軽症例では内科的治療のみで改善することが多い一方、重症化すると命に関わることもあるため、早期診断と的確な治療が重要です。当院では、腹部CTや血液検査などを用いて早期に重症度を評価し、状態に応じて適切な輸液管理、栄養管理、必要に応じてICU(集中治療室)での治療などを行っています。
慢性膵炎
慢性膵炎は、長期間にわたって膵臓の炎症が持続し、徐々に膵臓の働きが失われていく病気です。慢性的な上腹部痛、体重減少、下痢や脂肪便(油っぽい便)、糖尿病の発症などが見られます。最も多い原因は長年のアルコール摂取ですが、特発性や自己免疫性、遺伝性膵炎などもあります。膵石や膵管の狭窄が痛みの原因になることがあり、症状によっては内視鏡治療(ERCP)や外科的治療が検討されることもあります。当院では、慢性膵炎の病態や痛みの原因を評価し、食事指導・禁酒指導に加えて、膵酵素補充療法や必要に応じた内視鏡的処置などを行い、患者さんの生活の質の向上をめざしています。
膵臓腫瘍
膵臓腫瘍には、膵臓癌のほか、嚢胞性膵疾患(膵管内乳頭粘液性腫瘍[IPMN]や粘液性嚢胞腫瘍[MCN]など)、膵神経内分泌腫瘍(NET)など、さまざまな病態が含まれます。
膵臓癌
膵臓癌は進行が早く、治療の難しい疾患の一つですが、当院では最新のガイドラインに基づいた集学的治療(術前化学療法 → 手術 → 術後補助化学療法)を行い、生存率の改善を目指しています。診断には、高い専門性を要する胆膵内視鏡検査やEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)が必要となることが多く、治療においても、膵頭十二指腸切除や腹腔鏡下膵体尾部切除などの高度な外科手術が求められます。当センターでは、これらの検査・治療に内視鏡部門・外科部門が緊密に連携し、専門的に対応しています。また、膵体尾部の腫瘍に対しては、低侵襲な腹腔鏡手術にも対応しており、患者さんの身体への負担軽減にも努めています。
嚢胞性膵疾患
膵臓に嚢胞が見つかった場合、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や粘液性膵腫瘍(MCN)といった、一部にがん化のリスクを伴う疾患の可能性があります。これらの嚢胞性病変は、定期的な画像フォローアップやEUS、膵液細胞診などによる評価が必要となることがあります。必要に応じて治療介入も検討されますので、気になる症状や検査異常があれば、肝胆膵センターへお気軽にご相談ください。