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2008(平成20)年度 審議課題

第1回委員会審議 平成20年5月9日 審議内容
第2回委員会審議 平成20年7月4日 審議内容
第3回委員会審議 平成20年8月27日 審議内容
第4回委員会審議 平成21年2月20日 審議内容

2008(平成20)年度 第1回委員会審議
平成20年5月9日

申請者
広島赤十字原爆病院 外科部長
(元 別府医療センター外科医長)
筒井 信一
申請課題
2008-001
「乳癌におけるVEGF-C発現とリンパ管密度-それらとVEGF-A、 angiopoietin2および微小血管密度の関連』」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

乳癌においてリンパ管新生と血管新生に関与する増殖因子について明らかにすること

審査の目的;我々は、これまでに1985年より1998年にかけて別府医療センターで切除された乳癌症例を用いて、その生物学的因子の解析を行ってきました。今回、242例の症例の解析結果を、BREAST CANCER RESESRCHという雑誌に投稿したところ、再投稿の際、倫理委員会の審査を求めてきました。通常、本研究のような古い時期の症例の病理学的検討では、倫理委員会の審査を求められることはほとんど無く、これまで、これらの症例を対象に多くの学会や外国雑誌に発表してきましたが、今回の雑誌はすべての研究に倫理委員会の審査を求めております。このため、本研究の発表の是非について審査していただきたい。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2008(平成20)年度 第2回委員会審議
平成20年7月4日

申請者
整形外科 医長
別府 達也
申請課題
2008-003
「関節リウマチ滑膜におけるIgD陽性メモリーB細胞の解析」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

関節リウマチ滑膜内には種々の細胞の浸潤がみられるが、特にB細胞は抗体産生や抗原提示、種々のサイトカインの産生を介して、関節リウマチの病態に深く関わっていると考えら れている。このことはB細胞除去療法が関節リウマチに有効なこと、抗CCP抗体が関節リウマチの診断上きわめて高い特異性を有することからも支持されている。IgD産生メモリー B細胞は関節リウマチの病態との深い関わりが示されているIgM型リウマトイド因子や抗CCP抗体産生の前駆細胞として注目されているが、滑膜内での存在の有無、役割については ほとんど検討されていない。

本研究ではIgD産生メモリーB細胞と関節リウマチの病態との関わりについて、関節リウマチ滑膜の免疫染色、IgD産生B細胞のクローナリティーの解析を通じて検討する。このこ とは関節リウマチの病態解明だけでなく、B細胞除去療法に際し、より病態に深く関わるB細胞のみを特異的に除去する治療法への道を開くものである。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
泌尿器科 医長
藤井 猛
申請課題
2008-004
「骨転移を有する前立腺癌患者の一次内分泌療法に対するゾレドロン酸初期併用療法のランダム化比較試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
内分泌療法感受性前立腺癌の骨転移症例を対象として、ゾレドロン酸を併用することによる内分泌療法奏功期間(腫瘍マーカー(PSA)および臨床症状から病勢が安定した状態) に対する有効性と安全性を一次内分泌療法との比較によって評価する。主要評価項目は一次内分泌療法抵抗性となるまでの期間(TTF)、副次評価項目は骨関連事象発現までの期 間、有害事象の発現割合、全生存期間(OS)、骨転移の広がり(EOD)、麻薬使用の有無および麻薬使用がない場合の安静時疼痛スケール変化、フェイススケール変化、QOLの変化とする。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2008(平成20)年度 第3回委員会審議
平成20年8月27日

申請者
外科医長
池田 陽一
申請課題
2008-005
「cStageⅢa-Ⅲb(Ⅳ)期 根治切除可能・進行胃癌に対する術前Docetaxel+S-1併用療法+外科切除の第Ⅱ相臨床試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
根治切除が行えても予後が不良な臨床病期ⅢA、ⅢBあるいはⅣ(cT4N2)の未治療進行胃癌に術前化学療法としての Docetaxel(DOC)/Tegafur-Gimeracil-Oteracil(S-1)併用療法の有効性と安全性を評価し、臨床第Ⅲ相試験に向 けての基礎的検討とすることを目的とする。
主要エンドポイント:病理学的奏功割合
副次エンドポイント:術前化学療法の奏功割合、プロトコール治療完遂割合、根治切除割合、3年無再発生存期間(RFS:Relapse Free Survival)、3年生存割合、有害事象発生割合と程度(手術関連合併症を含む)
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
外科医長
池田 陽一
申請課題
2008-006
「StageⅢ結腸癌(直腸S状結腸部(RS)を含む)に対するカペシタビン術後補助化学療法の安全性確認試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
本邦における術後補助化学療法としてのカペシタビンの安全性を検討する。
プライマリーエンドポイント:完遂割合
セカンダリーエンドポイント:安全性プロファイル(有害事象発現割合及びその重症度)
手足症候群、肝機能障害の累積発現割合
副次的解析 3および5年無病生存割合、全生存割合
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
消化器科 副院長
酒井 浩徳
申請課題
2008-007
「C型慢性肝炎に対するデータマイニング手法を用いた効果的な治療方法に関する研究」
申請の概要
C型慢性肝炎の治療法として2004年12月以後、週1回投与のインターフェロン(ペグインターフェロン)と抗ウイルス剤(リバビリン)の併用治療法が、わ が国でも使用可能となった。難治症例に対するインターフェロン治療効果は、従来の治療法では10%以下の治癒率だったが、この併用治療法では50-60% 前後の治癒率が期待できると言われている。しかし、どのような患者さんで高い治療効果が期待できるのか、また、多数例での副作用の実態がどうなのか明らか ではない。今回、このことを明らかにする為に、厚生労働省の研究班として調査をおこなう。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2008(平成20)年度 第4回委員会審議
平成21年2月20日

申請者
泌尿器科医長
藤井 猛
申請課題
2008-008
「前立腺肥大症に伴う過活動膀胱を含む下部尿路症状に対するエビプロスタット配合錠DBとα1受容体遮断薬の併用効果の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
前立腺肥大症は排尿障害のみならず尿道抵抗が高まることにより膀胱機能も影響を受け、複雑な病状を示す疾患であることから、α1受容体遮断薬単独投与にて 満足のいく効果が得られないことがある。エビプロスタットはラット下部尿路閉塞モデルにおいて、膀胱の酸化ストレスを軽減すること、蓄尿期の無抑制収縮を 抑制すること、またラット膀胱酢酸刺激モデルにおいて尿中ATP上昇抑制作用を示すなど、膀胱に対する作用を有している。前立腺肥大症に伴う下部尿路症状 については、α1受容体遮断薬が排尿症状のみならず蓄尿症状にも効果があるとされ、第一選択薬となっているが、作用機序の異なるエビプロスタットを治療開 始時より併用することで、特に蓄尿症状に対し、より高い効果が得られる可能性がある。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2008-009
「がん診療連携拠点病院における「評価指標順守率」を用いたがん診療の均てん化の評価に関する共同研究」(国立病院機構 政策医療ネットワーク共同研究)
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

がん診療連携拠点病院制度は、「がん対策基本法」の基本理念の一つ「がん患者がその居住する地域にかかわらず等しく科学的根拠に基づく適切ながん医療を受 けることができるようにすること(がん医療の均てん化)」を目的として整備された。しかし、がん診療連携拠点病院が指定要件を満たしているといっても、施 設間格差、地域間格差は存在することが予想されるので、これを客観的に明らかにし、その対策を講じることが重要である。そのためにはまずがん診療の質を評 価する必要がある。一般に診療の質を測定する方法としては、構造(スタッフの充足度や専門家の有無)、診療プロセス(提供された診療そのもの)、結果(診 療後に患者に起きた転帰や状態)に焦点を当てて行うという選択肢がある。医療の目標が患者の健康状態の改善であることから結果評価は重要であるが、診療か ら結果の出現まで時間がかかることや、多種多様ながん患者に対する基礎状態などの多種多様な因子の統計的調節が困難である。一方で実際に改善を行っていく 対象は診療プロセスの部分である。診療プロセスを評価するためには、先行研究や海外の医療制度などでは標準診療が行われているかどうかを指標として、その 患者集団に提供されている医療の質を測定することが行われている。

本研究の目的は、胃がん・大腸がん・乳がん・肝がん・肺がんについてエビデンスと専門家の合意により作成した診療質評価指標(Quality Indicator)群を、実際の国立病院機構のがん診療連携拠点病院の診療に当てはめ、順守率の実測をおこなうことにより、その指標群としての使用可能 性や評価などについて検討する。また、がん診療の実態調査を行うことで、標準治療と考えられるものが国立病院機構のがん診療連携拠点病院でどれだけ行われ ているかの検証を行うことにある。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
麻酔科医長
大石 一成
申請課題
2008-010
「高流量持続的血液ろ過透析(high flow CHDF(HFCHDF))施行中におけるアミノ酸喪失量の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
従 来、持続的血液ろ過透析(Continuous hemodiafiltration(CHDF))は集中治療領域において腎不全状態を治療することを目的に施行されてきた。最近では、敗血症性ショック の状態において、ショックの原因となる様々なサイトカインを除去し、ショックを改善させることを目的に行われるようになってきている。その場合、透析液量 やろ過量を従来より高流量で行う、high flow CHDF(HFCHDF)として施行する必要がある。CHDF試行中はろ液中にアミノ酸が喪失することが知られているが、HFCHDF中のアミノ酸喪失量 について詳しく調査した報告はない。今回、HFCHDF中のアミノ酸喪失量と、患者のアミノ酸血中濃度に及ぼす影響について調査する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。