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2009(平成21)年度 審議課題

第1回委員会審議 平成21年6月14日 審議内容
第2回委員会審議 平成21年8月20日 審議内容
第3回委員会審議 平成21年11月9日 審議内容
第4回委員会審議 平成22年1月25日 審議内容
第5回委員会審議 平成22年2月15日 審議内容

2009(平成21)年度 第1回委員会審議
平成21年6月14日

申請者
呼吸器内科医長
澤部 俊之
申請課題
2009-001
「喘息コントロール達成後のステップダウン治療法の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
気管支喘息は、発作性の呼吸困難、喘鳴を主徴とする疾患であり、疫学調査では成人喘息の有病率は4%とされているが、さらに増加の傾向にある。気管支喘息の概念は、近年になり気道平滑筋機能異常から慢性気道炎症へのパラダイムシフトが起こり、これにより気管支喘息の治療も気管支拡張療法から抗炎症療法へと大きく転換することになった。抗炎症療法の中心となる薬剤は吸入ステロイド薬であり、その晋及により、本邦における年間の喘息死亡者数は3,000人を割るまでに減少した。しかしながら、中等症持続型以上の慢性喘息では吸入ステロイド薬単独療法による喘息コントロールの達成率は低く、初期治療として吸入ステロイド薬に加えて長時間作動性吸入β2刺激薬の併用が最も優れた治法として推奨されている。本邦においては、吸入ステロイドと長時間作動性吸入β2刺激薬はこれまで、別々の薬剤として投与されていたが、欧米ではすでに10年ほど前から両剤の配合剤(以下、SFC)の形で使用されており、昨年本邦においてもSFCの使用が可能となり、その有効性に加えて、利便性、良好なアドヒアランスなどの点から、多くの喘息患者に対して使用されている。気管支喘息に対するSFCの治療効果は優れており、喘息コントロールの達成率は高いが、喘息コントロール達成後の薬剤の減量およびコントロール維持のための長期的な治療方針については一定のコンセンサスが得られていない。喘息治療ガイドラインにおいても、3ケ月間喘息コントロールが良好であった場合には減量を考慮するとされているが、最初に長時間作動性吸入β2刺激薬を外すべきか、あるいは吸入ステロイド薬の用量を減量すべきか等については明記されていない。そこで今回は、SFCによる喘息コントロール達成後の減量およびコントロール維持のための方法として、何が最 も優れた方法なのかを検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2009-002
「C型慢性肝炎に対する早期治療効果予測に関する診断マーカーの研究」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
Genotype1型で高ウイルス量の難治性C型慢性肝炎患者に対するPEG-IFN/Ribavirin併用療 法において、治療早期のHCV抗原量と新しく開発されたCOBAS TaqMan HCVを用いてHCVRNAの定量を行い、治療早期に効果予測が可能であるかを比較検討する。また、PEG-IFN/Ribavirin 併用療法48-72週間投与のウイルス学的治療効果について検討し、副次的に8、12、16、24週投与時の陰性化率、肝機能改善度、安全性について評価する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
リウマチ科医長
末永 康夫
申請課題
2009-003
「関節リウマチにおける薬剤性肺障害発症に関わる遺伝子の探索」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

関節リウマチ(RA)には時に重篤な合併症として間質性肺病変(ILD)の発症をみることがある。また、その一部は薬剤誘発性である。本研究は、一塩基多型解析法を用いて間質性肺病変の発症に関わる遺伝的素因を探索することにより、抗リウマチ薬の選択基準の作成に寄与するとともに患者生命予後の改善を図ることを目的としている。

RA患者を対象に末梢血を採取し遺伝子解析を施行する。同時にその臨床情報を収集 し、その関連を解析する。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2009(平成21)年度 第2回委員会審議
平成21年8月20日

申請者
泌尿器科医長
藤井 猛
申請課題
2009-004
「網羅的遺伝子解析に基づく腎癌研究」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

腎癌発症の分子機構を明らかにし、その中から治療の対象となる遺伝子の同定を目指す。

根治的腎摘出術で摘出された組織(腫瘍部と同時に摘出された正常部)からLaser-captured microdissection(LCM)を使用して顕微鏡下に目的の細胞のみ切り取り回収してDNA、RNAを抽出する。DNAをarray comparative genomic hybridization(アレイCGH法)により網羅的に解析することで腫瘍細胞のゲノムにおけるDNAコピー数の変化領域を特定する。そしてそれらのゲノム増幅領域ならびに欠失領域の中から腫瘍の発症、進展、悪性化に関わる遺伝子を同定し、その分子機構を解析する。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2009(平成21)年度 第3回委員会審議
平成21年11月9日

申請者
外科医長
松本 敏文
申請課題
2009-005
「単孔式腹腔鏡下手術における安全性と有用性の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
本邦において腹腔鏡下手術が消化器外科領域に導入されて20年が経過した。胆嚢摘出術から始まった腹腔鏡下外科手術は、その低侵襲性により胃・大腸疾患はもとよりさまざまな疾患に適応の拡大をみることができた。その低侵襲性の大きな理由として小さな創から腹腔内の操作をおこなうことが示されているが、小さな創は術後の整容性・美容性からも患者満足度を高めることになる。最近は、その創の数を減らすべく1つのポートから手術をおこなう単孔式腹腔鏡下手術(Single port surgery、以下SPS)が施行され始めている。そこで、われわれはSPSによる手術の安全性と当院外科での工夫(スポンジポート)の有用性を検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
呼吸器科医長
澤部 俊之
申請課題
2009-006
「気腫優位型COPD患者におけるチオトロピウムおよびカルボシステインの併用による増悪抑制効果の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
気腫優位型のStageII~IVの安定期のCOPD患者において、カルボシステイン1,500mg/dayとチオトロピウム1カプセル(チオトロピウムとして18μg)/dayによる併用治療と、チオトロピウム単独治療の増悪抑制効果について比較検討を行う。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2009(平成21)年度 第4回委員会審議
平成22年1月25日

申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2009-007
「医療機関従事者の新型インフルエンザ(H1N1)予防接種後副反応該当疾患(異常行動、入院率を含む)頻度調査:(新型インフルエンザウイルスに対するインフルエンザワクチン(A/H1N1)の安全性の研究付随研究)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
新型インフルエンザワクチン(A/H1N1)を接種する医療従事者(健康成人)約2万例を対象に副反応の出現頻度を検討するが、Serious Adverse Event(SAE)としての入院例、39℃以上の発熱、じんましん等が見られることが予想されている。しかしながら、医療従事者を対象とした副反応調査は対照群の設定をしていないため、ワクチンによる有害事象が入院率等にどの程度影響を及ぼすかを検討することが困難な試験デザインとなっている。そのため、新型インフルエンザ(A/H1N1)の安全性の研究の研究期間に実施医療機関職員が入院した率や高熱、熱生疾患に伴う異常行動等の発現状況を調査し、安全性の研究と比較する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2009-008
「核酸アナログ未治療のB型慢性肝疾患に対するエンテカビルの治療効果と耐性変異の検討(国立病院機構ネットワーク共同研究[肝疾患])」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
核酸アナログがB型肝炎治療に導入され、肝炎の沈静化・肝発癌の抑制ひいては生命予後の改善に寄与している。エンテカビルは抗HBV(hepatitis B virus、B型肝炎ウイルス)活性を有する核酸アナログの中でも最も強力で、核酸アナログ未治療例に対する治療では耐性化の頻度も極めて低率である。しかし、それでもなお長期経過では約1%の耐性化が認められる。今後もエンテカビルで治療するB型肝疾患患者数は増加するものと考えられ、また投与期間がさらに長くなると耐性化の頻度は増えるものと予想される。したがって耐性例が増加するまでに、その実態調査と対策を講じることが望まれる。耐性化には特有の遺伝子変異が知られているが、多数例のデータ集積はなく、耐性変異に対する治療指針はいまだ確立されていない。そこで本研究では、国立病院機構臨床共同研究(肝疾患)の研究課題『B型慢性肝疾患に対するエンテカビル治療およびラミブジン・アデホビル併用療法の薬剤耐性変異に関する指針』の一環として、国立病院機構肝疾患ネットワークでエンテカビル治療症例を蓄積し、①治療効果および②耐性化を規定する遺伝子変異を検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2009-009
「ラミブジン耐性のB型慢性肝疾患に対するアデホビル併用療法の治療効果と耐性変異の検討(国立病院機構ネットワーク共同研究[肝疾患])」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
核酸アナログがB型肝炎治療に導入され、肝炎の沈静化・肝発癌の抑制ひいては生命予後の改善に寄与している。抗HBV(hepatitis B virus、B型肝炎ウイルス)活性を有する核酸アナログの中で最初に治療に導入されたらラミブジンは高率に耐性化を生じる。ラミブジン耐性例に対してはアデホビルの追加併用がガイドラインで推奨され、耐性化は稀とされていた。しかし、服用期間が長くなるにつれ耐性化例の報告が散見されるようになり、今後投与期間がさらに長くなると耐性化の頻度は一段と増えるものと予想される。したがって耐性例が増加するまでに、その実態調査と対策を講じることが望まれる。耐性化には特有の遺伝子変異が知られているが、多数例のデータ集積はなく、耐性変異に対する治療指針はいまだ確立されていない。そこで本研究では、国立病院機構臨床共同研究(肝疾患)の研究課題『B型慢性肝疾患に対するエンテカビル治療およびラミブジン・アデホビル併用療法の薬剤耐性変異に関する指針』の一環として、国立病院機構肝疾患ネットワークでラミブジン・アデホビル併用療法例を蓄積し、①治療効果および②耐性化を規定する遺伝子変異を検討することを目的とする。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
消化器科医長
良永 雅弘
申請課題
2009-010
「ヘリコバクター・ピロリ三次除菌療法としての高用量ラベプラゾール+アモキシシリン療法の有用性の検討」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
Helicobacter pylori(H.pylori)は、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌の原因であることが明らかとなっている。除菌療法は胃・十二指腸潰瘍の再発抑制に非常に有用であり、最近では胃癌リスクを減少させる効果が報告されている(Lancet 2008;372(9636):392-7)。近年、H. pyloriの除菌療法の普及とともに除菌不成功例の増加が問題となっている。わが国では、一次除菌はプロトンポンプ阻害剤(PPI)倍量+アモキシシリン+クラリスロマイシン、二次除菌としてPPI倍量+アモキシシリン+メトロニダゾールが保険適用となっている。近年、一時除菌率は70~80%と低下し、二次除菌においても不成功となる症例も少なからず認め、今後は三次除菌レジメンを要する症例は増加してくると考えられる。しかしながら、クラリスロマイシンおよびメトロニダゾールに耐性の症例に対する三次除菌のプロトコールについては一定の見解は定まっていないのが現状である。H. pylori においてはアモキシシリンに対する耐性をほとんど生じないことから三次除菌として有用と考えられる。Miehkeらは三次除菌としてオメプラゾール160mg、アモキシシリン3gを4分割、14日間により除菌成功率75.6%(31/41)で、軽度の下痢や嘔気を副作用として認めたものの重篤な副作用を認めなかったと報告した(Helicobacter 8:310-319,2003)。除菌成績に影響を与える因子として、PPIの代謝酵素であるCYP2C19の多型が指摘されており、代謝速度の速いExtensive metabolizerでは、通常量のPPIでは不十分であり、高用量のPPIの使用により除菌成績が向上することが報告されている(Phamacogenetics 11, 2001)。また、PPIの中でも、ラベプラゾールは、代謝酵素としてのCYP2C19の影響を受けることは少なく、24時間胃内pHモニタリングによる報告によれば、ラベプラゾール40mg/day (4分割)では40mg/day (2分割)に比較し24時間を通じた十分な酸分泌抑制効果を持つことが報告されている。従って、強力かつ安定な酸分泌抑制を目標とする場合、PPIとしてはラベプラゾール40mg/day (4分割)が、現時点では最も効果的と考えられる。Furutaらは二次除菌としてラベプラゾール40mgとアモキシシリン2000mgを四分割で投与し17人全員の除菌に成功し、副作用を特に認めなかったと報告した(Hepatogastroenterol. 50, 2003)。今回、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)三次除菌としての高用量ラベプラゾール+アモキシシリン療法の効果を多施設共同試験にて検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
リウマチ科医長
末永 康夫
申請課題
2009-011
「関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
本邦における関節リウマチ(RA;Rheumatoid Arthritis)診療の実情を継続的に検証するため、引き続き全国規模の他施設共同による患者情報収集解析を行い、RA患者の現状と問題点を明らかにする。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2009(平成21)年度 第5回委員会審議
平成22年2月15日

申請者
消化器科医長
良永 雅弘
申請課題
2009-012
「抗血小板剤クロピドグレル内服患者における上部消化管出血の調査研究(現状調査)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

脳梗塞再発予防、心筋梗塞再発予防、冠動脈ステント血栓症予防のために抗血小板剤クロピドグレル投与される患者が増加しているが、それに伴い合併症として上部消化管出血増加が報告されている。

クロピドグレルによる消化管出血リスクは、アスピリンやNSAIDとの併用により高くなることが報告されている。特に冠動脈薬剤溶出性ステント留置患者においては、クロピドグレル+アスピリンの併用継続投与が必要とされ消化管出血リスクは高いが、薬剤の中断は冠動脈ステント血栓症リスクが高くなることが報告されている。継続投与による出血リスクと中断による血栓リスクのため、消化管出血合併時の治療に苦慮する。

さらには、クロピドグレルとプロトンポンプ阻害剤併用は、冠動脈血栓リスクが増加するため、併用を避けることが勧告されており、クロピドグレルによる上部消化管出血を来した際に、有効な治療薬プロトンポンプ阻害剤が使用できず、治療に困難を来す。

クロピドグレルによる消化管出血リスク、クロピドグレルによる消化管出血リスク、クロピドグレルとアスピリン・NSAID併用による消化管出血リスクの危険性、頻度について欧米より報告されているが、日本人では代謝酵素の遺伝子多型プロフィールが異なるため、危険性、頻度が異なることが推察される。

上記の事態を鑑み、日本人におけるクロピドグレル内服患者における上部消化管出血および、その危険因子、治療法の実態を明らかにする必要がある。

日本人におけるクロピドグレル内服患者における上部消化管出血の実態・危険因子・治療法を多施設共同研究により明らかにする。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
リウマチ科医長
末永 康夫
申請課題
2009-013
「超早期治療介入による関節リウマチ(RA)発症抑止に関する前向き研究」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
関節リウマチ(RA)を高頻度に発症することが予想される抗CCP抗体陽性診断不確定関節炎患者を対象とし、超早期治療介入を行い、RAの発症を抑止しうるかどうかを検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。