2010(平成22)年度 審議課題

第1回委員会審議 | 平成22年4月14日 | 審議内容 |
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第2回委員会審議 | 平成22年5月26日 | 審議内容 |
第3回委員会審議 | 平成22年7月21日 | 審議内容 |
第4回委員会審議 | 平成22年9月16日 | 審議内容 |
第5回委員会審議 | 平成22年11月24日 | 審議内容 |
第6回委員会審議 | 平成22年12月27日 | 審議内容 |
第7回委員会審議 | 平成23年1月31日 | 審議内容 |
第8回委員会審議 | 平成23年2月28日 | 審議内容 |
2010(平成22)年度 第1回委員会審議
平成22年4月14日
- 申請者
- 消化器科医長
良永 雅弘 - 申請課題
- 2010-001
「大腸癌組織におけるPPAR d、COX-2発現と予後との関連に関する検討」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
わが国において、大腸癌患者数はがん患者数の中で上位を占めている。予後(5年間生存率)は癌の進展、転移に伴い悪化する。特に肝転移は予後悪化因子のひとつである。大腸癌における肝転移の機序が解明されれば、a) 肝転移の危険因子を判別して全身化学療法を施行し、転移発生の予防に努めることが可能となる、更に b) 転移を促進する物質の拮抗薬を開発することで予後の改善に貢献できるものと考えられる。
核内受容体であるperoxisome proliferator-activated receptor(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、以下PPAR)は、細胞内の脂肪酸、アミノ酸の代謝やコレステロール、胆汁酸の合成に関与するペルオキシソームの増生を誘導する受容体として発見され、現在では炭水化物、脂質、たんぱく質等の細胞内代謝及び細胞の分化に密接に関与していることが知られている。現在のところPPARには3つのisoform(亜型; alpha, gamma, delta)がある。特に、PPAR delta (PPAR d)は、大腸癌細胞において発現が亢進しているが、癌の発育・進展過程における役割が明らかでない。近年、大腸癌細胞において発現が亢進しているCOX-2により細胞膜から産生されたprostacyclin が PPAR dの活性を亢進することが報告された。又、大腸癌細胞及び大腸癌組織において、PPAR d/ COX-2の発現、活性化は血管内皮増殖因子(VEGF-A)の発現を亢進させることが報告された。そこで大腸癌の切除標本を用い、癌組織内のPPAR d, COX-2発現と臨床的特徴(特に肝転移)及び予後との関連につき検討を加える。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 小児科医長
高橋 伸 - 申請課題
- 2009-014
「成育医療への応用を目的としたNICU共通データベースの構築とその活用による経年的疾病発症に関する研究」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- 新生児医療は、医療技術が進歩し早産児・異常新生児の生命予後が改善した反面、不妊治療および多胎、低出生体重児の増加、医療介助の必要な合併症の複雑化など、大きくその背景が変容している。本研究では、国立病院機構内で早産児・異常新生児のデータベースを構築し、そのデータベースを中心に据えた経年的な疾患(喘息、てんかん、低身長、感染症、等)発症のフォローアップ研究を目的とし、周産期背景との関連についての解明を目標とする。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第2回委員会審議
平成22年5月26日
- 申請者
- 腎臓内科医長
菊池 秀年 - 申請課題
- 2009-015
「腹膜透析患者におけるタイダル療法の睡眠障害改善効果について」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
腹膜透析療法の中でも、就寝中に自動的に透析液を交換するサイクラー(自動腹膜潅流装置)を用いたAPD療法は、日中活動時のバック交換回数を減少させライフスタイルを損なわない透析方法であり、その使用頻度は近年増加傾向である。しかしながら器械を用いて行う透析のため、就寝中のアラーム音や排液時の痛みなどにより睡眠障害を来す可能性も指摘されている。一方、タイダル療法とはAPD療法においてサイクラーを使用して短い時間で注排液を繰り返し注液した全部の量を排液するのではなく、その一部を頻回に交換する方法であり、アラーム音や排液時の痛みの回避効果も示されている。このような利点を持ちながらもタイダル療法は現在まで一般的な認知が少ないのが現状であり、睡眠障害を回避する更なるエビデンスの発信が急務である。
そこで本研究は、タイダル療法の睡眠障害改善効果を睡眠スコアを用いて検討するとともにQOL改善効果、残腎機能保持、透析効率への影響も視野に入れて評価する。
- 判定
- 条件付承認
本報告は全員一致で条件付承認とされた。
- 申請者
- 小児科医長
高橋 伸 - 申請課題
- 2010-002
「川崎病ガンマグロブリン不応例に対するインフリンキシマブ投与」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
川崎病急性期の治療において、ガンマグロブリン大量療法と抗炎症薬経口投与が一般的に行われているが、ガンマグロブリン投与に反応しない症例(不応例)が存在する。不応例に対してはガンマグロブリン追加投与、ステロイド投与治療等が行われているが、未だ確立されたものはなく、すべての例に有効な治療法は存在しない。急性期治療の目標は炎症を速やかに終息させ、冠動脈瘤を形成しないことである。中等度以上のサイズの動脈瘤を生じた場合、後遺症として残存し、虚血性心疾患や突然死の原因となり、患児の生活に重大な影響を及ぼすこととなる。発生した動脈瘤を治療により縮小させることは不可能であり、冠動脈の発生しやすくなる9病日以前に解熱させることが重要である。
インフリンキシマブは生物学的製剤による抗TNF-α抗体で、関節リウマチ等の疾患に抗サイトカイン療法のひとつとして使用される薬剤である。2004年にWeissらがガンマグロブリン投与・ステロイド投与に不応の川崎病症例に対する使用を初めて報告した。日本でも使用例が増加しており、その有効性が確認されつつある。しかしながら川崎病に対する使用は未承認であるためOff-rabelでの使用となり、感染増悪等の副作用の懸念から、十分なインフオームドコンセントを得ておく必要がある。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 小児科医師
都 研一 - 申請課題
- 2010-003
「川崎病におけるγグロブリン大量療法が内分泌環境に与える影響の検討」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
川崎病は乳幼児に好発する原因不明の急性熱性疾患である。全身の中小動脈の血管炎が特徴であり、中でも冠動脈瘤は予後を左右する重篤な後遺症である。その治療には、抗血栓療法としてのアスピリン投与と抗炎症効果を目的としてのγグロブリン大量療法が行われている。特にγグロブリン大量療法は、冠動脈病変の予防に有効と考えられている。
γグロブリン製剤は、ヒトの輸血に由来する血液製剤である。その精製過程において血液媒介病原体などは安全に除去されているが、内分泌物質の残存、および投与によるその影響については検討がなされていない。本研究では、γグロブリン製剤中の内分泌物質を測定し、残存が認められたものついては、投与前後での血清中濃度を測定してその影響を検討することを目的とする。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 副院長
酒井 浩徳 - 申請課題
- 2010-004
「C型慢性肝炎のペグインターフェロン・リバビリン療法における健康補助食品「アスタキサンチン」の併用効果に関する試験研究」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- Genotype 1型で高ウイルス量の難治性C型慢性肝炎患者に対するPEG-IFN/Ribavirin併用療法において、治療早期のHCV抗原量と新しく開発されたCOBAS TaqMan HCVを用いてHCVRNAの定量を行い、治療早期に効果予測が可能であるかを比較検討する。また、PEG-IFN/Ribavirin併用療法48-72週間投与のウイルス学的治療効果について検討し、副次的に8,12,16,24週投与時の陰性化率、肝機能改善度、安全性について評価する。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第3回委員会審議
平成22年7月21日
- 申請者
- 副院長
酒井 浩徳 - 申請課題
- 2010-005
「難治性C型慢性肝炎症例に対するPEG-IFNα-2a・RBV併用療法の有効性・安全性に関する検討」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法は、2003年12月にはペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2a単独療法、2004年12月にはPEG-IFNα-2b/RBVの併用療法が認可され、更に2007年3月にはPEG-IFNα-2a/RBVの併用療法も認可され、本邦においても世界の標準治療を行うことが可能となった。PEG-IFNα-2a/RBVの併用療法の国内第Ⅲ相臨床試験において、Genotypelb、高ウイルス量(IOOKIU/mL以上)のC型慢性肝炎に対して、48週投与で初回治療では59.4%、前治療無効・再燃例に対する再治療においても54.0%のウイルス学的効果(SVR)が得られている。しかし、Genotypel初回症例に対しPEG-IFNα-2a/RBVの併用療法で12週時陽性かつ24週時陰性例(Late responder)では48週間投与では十分な効果が得られないことが示されており、より治療期間を延ばした72週間投与の方が高いSVRが得られることが海外では報告されている。さらに、先行して承認されたPEG-IFNα-2b/RBVの併用療法でもSVRが得られない難治症例が問題となっている。今回我々は難治症例であるGenotype lb、高ウイルス量のC型慢性肝炎に対するPEG-IFNα-2a/RBVの併用療法の効果と有効性に影響を及ぼす因子について検討すべく、当試験を企画した。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 外科医長
松本 敏文 - 申請課題
- 2010-006
「外科手術後の非感染創処置における上水道水使用の安全性と有用性に関する検討」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
感染を伴わない創処置において最近は消毒薬による処置は不要である報告が相次いでいる。これらの報告は、消毒薬が有する化学的殺菌効果の半面にある消毒薬による創縁壊死や周囲の正常皮膚に対する接触性皮膚炎のために創傷の治癒遅延を導くとされる根拠による。外科手術後は常識的に毎日、創部を消毒薬で処置しガーゼをあてる管理を続けてきた。また、最近は縫合創やカテーテル挿入部は、消毒処置の後にフィルム材による被覆を使用し5-7日で交換している。しかしながら、縫合後の創部は48時間後で縫合創縁は上皮化し、消毒処置をしても皮膚毛孔の常在菌は出現するために毎日の創処置に消毒薬が必要かどうかは疑問である。
今回、われわれは外科手術後の創処置に対して非感染創に消毒薬による処置を止め、飲用可能な上水道水による創部の浸出液や汚れを拭う処置に変更し、その安全性と有用性を検討する。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第4回委員会審議
平成22年9月16日
- 申請者
- 統括診療部長
井原 和彦 - 申請課題
- 2010-007
「骨粗鬆症性椎体骨折後の新規椎体骨折の危険因子の解明」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
医療行為:前向き比較介入試験。全国の国立病院機構の参加施設で、原発性骨粗鬆症で加療中の患者を対象に従来の骨粗鬆症の診察に行われるX線検査、骨密度、骨代謝マーカ等の検査を行い、3年間経過観察を行う。なお、治療法については規定しない。
本研究の目的:高齢化社会の進展とともに骨粗鬆症性骨折の増加は社会的問題となっている。なかでも椎体骨折は最も頻度が高い骨折といわれている。骨粗鬆症性椎体骨折の多くは外傷の既往なくして起こるが、一定期間の安静やコルセットなどの外固定を行うと局所変形が残っても疼痛は軽減し日常生活に与える影響は少ないと考えられてきた。しかし近年、一度骨折を起こすと次々隣接椎体の骨折連鎖を引き起こし疼痛や脊柱変形、姿勢異常、さらにこれに伴う逆流性食道炎などの消化器系や拘束性換気障害などの呼吸器系の機能障害によるQOLの大幅な低下を招き、生命予後不良の一因となっている。このため続発する新規椎体骨折の危険因子の解明は必須であり、これにより骨粗鬆症性椎体骨折に関して効率的な検査法および治療法の選択が可能となり、新規椎体骨折を未然に防ぐことになる。本研究の最終目的は、活動的な高齢社会の実現である。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 外科医長
武内 秀也 - 申請課題
- 2010-008
「HER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象としたカペシタビンとシクロホスファミド(XC)併用療法の観察研究」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- HER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象としたfirst line治療あるいはsecond line治療以降におけるカペシタビンとシクロホスファミド併用療法の有効性と安全性を検討することを目的とする。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 消化器外科医師
沖 英次 - 申請課題
- 2010-009
「大腸癌におけるオキサリプラチンの末梢神経障害に対する漢方薬:牛車腎気丸の有用性に関する多施設共同二重盲検ランダム化比較検証試験(第Ⅲ相試験)」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- 根治切除(R0手術)後pStageⅢ結腸癌(腫瘍下縁が腹膜翻転部以上の直腸癌症例を含む)を対象に、術後補助化学療法mFOLFOX6(オキサリプラチン:L-OHP)12コース治療中のGrade2(CTCAE v4.0)以上の末梢神経障害の発言までの時間(Time To Neuropathy;TTN)を主要評価項目として、プラセボ併用群をコントロールとした漢方薬:牛車腎気丸併用群の末梢神経障害抑制効果の優越性を比較検証する(第Ⅲ相試験)。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第5回委員会審議
平成22年11月24日
- 申請者
- 呼吸器外科医長
斉藤 元吉 - 申請課題
- 2010-010
「肺癌術後再発症例の治療と予後に関する多施設共同前向きコーホート観察研究」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
非小細胞肺癌で手術を受けた後に再発と診断された方を対象に病状と治療経過を追跡する調査。
これまで術後再発を対象とした生命予後、予後因子治療法に関する研究報告は少なくさらに報告の多くは海外の単施設によるものがほとんどである。一方で近年新たに開発された抗癌剤や分子標的治療薬の登場で再発後の治療法もこの数年で大きく変貌しつつある。
従って術後再発に対する今後の適切な治療選択を検討するうえで、多施設間での観察調査が必要であるため。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 副看護師長
村武 明子 - 申請課題
- 2010-011
「国立病院機構におけるC1ostridium difficile 関連下痢症の発生状況と発生予防に関する研究」参加について - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- C1ostridium difficile(C.difficile)は抗菌薬や抗悪性腫瘍薬使用に関連する下痢・腸炎の主要な原因菌であると同時に、重要な院内感染菌である。本菌による感染症では、軽度の下痢症から、偽膜性大腸炎、イレウス、更には緊急手術を要するような中毒性巨大結腸症や腸管穿孔まで菌株や宿主の状態によりさまざまな症状を呈することが知られている。また一旦治療で改善してもrelapse(再燃)が起こりやすいことも特徴である。C.difficileは、偏性嫌気性菌で、芽胞を形成し、乾燥やアルコール消毒に耐性となるため、環境に長く存在し続けて、医療従事者などを介して院内感染を起こすことが知られており、医療関連感染の原因菌として、欧米では以前から重要視されてきた。欧米でのアウトブレークを受けて、我が国でも平成19年4月2日付けで厚生労働省医政局より各都道府県、政令市、特別区の衛生主幹部(局)へC.difficileの院内感染対策の徹底についての注意喚起が行われた。しかしながら我が国では、CDADは厚生労働省の院内感染サーベイランスにも含まれておらず、医療従事者のCDADに対する関心は必ずしも高いとは言えず、多くのCDAD症例の発生が見逃されている可能性がある。本研究で、国立病院機構という日本最大の病院グループでのCDADの発生状況や感染予防対策の実施状況を明らかにすることは、感染予防上も重要な意味を持ち、医療従事者のみならず高齢者施設など一般国民に対しても大きなインパクトとなると同時に、医療の質の改善にも結びつくものと思われる。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 副看護師長
吉村 幸永 - 申請課題
- 2010-012
「在宅で経口抗がん剤を内服している患者の現状調査薬に対する理解と内服の管理について」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- がん化学療法の治療の場は、入院から外来へシフトされている。中でも経口抗がん剤については、静脈注射と違い、投与経路が経口であるため、治療の場として在宅を選択されるケースが多い。そのため、在宅治療中の患者は、医療者と接する機会も外来受診日のみだけとなってしまうことも少なくない。また、従来の経口抗がん剤に加え、分子標的治療薬は皮膚障害など特有な副作用を有するものもある。そのため、経口抗がん剤は自宅で患者自身が管理できることが前提となり、患者自身のセルフケア能力が重要となる。しかし現状では、在宅で治療ができるという簡便さから静脈注射より、その副作用が軽いという意識やその内服管理についても十分に理解しきれていないのではないかと感じることがある。今回の研究では、経口抗がん剤についての患者の理解と実際の内服管理の現状を明らかにし、今後経口抗がん剤内服中の患者の副作用のモニタリングと内服管理のシステム構築に役立てたいと考える。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第6回委員会審議
平成22年12月27日
- 申請者
- 臨床研究部長
楠本 哲也 - 申請課題
- 2010-013
「一般社団法人National Clinical Database (NCD)の外科手術・治療情報データベース事業での手術・治療情報登録における情報の取り扱い」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
現在、わが国では外科医不足が喫緊の課題となっている一方で、外科医の適正配置と質についても問われている。このような状況の中で患者に最善の医療を提供していくためには、外科専門医のあり方を根拠に基づいて検討し、社会に示していくことが重要となる。また適正な医療水準を維持するために、必要とされる資源や適切な人員配置を明らかにするとともに、外科医が関与している外科手術を体系的に把握することが不可欠である。これらの目的を達成するために、外科学会を基盤とする各サブスペシャルティの学会が協働して、専門医制度と連携した外科症例登録のデータベース事業を行うこととなった。本事業は,日本全国の手術・治療情報を登録し,集計・分析することで医療の質の向上に役立て、治療成績の改善を目指すプロジェクトである。本事業に登録したデータを分析することで以下のことを明らかにすることができる。すなわち、
- 手術を行っている施設診療科の特徴
- 医療水準の評価
- 適正な専門医の配置
- 手術を受けた方の予後
- これから手術を受ける方の死亡・合併症の危険性、など
これにより各診療科は自診療科の特徴や課題をより明確にすることができる。そして診療科、施設単位だけでなく、地域レベル、全国レベルで医療の水準を明らかにして、地域単位、国単位で比較することもできるようになる。また術前のリスクをより精確に評価できるようになり、その情報を用いて患者さんやその家族と手術・治療の方針を検討することができるようになる。さらに全国の皆様に手術・治療を提供できるようにするため、よりよい専門医制度のあり方を検証するための基礎資料ともなる。加えて、さまざまな臨床研究・介入研究と連携して運営することで、データ登録を一元化し、データ入力にともなう負担を軽減することも期待される。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 呼吸器外科医長
斉藤 元吉 - 申請課題
- 2010-013
「一般社団法人National Clinical Database (NCD)の外科手術・治療情報データベース事業での手術・治療情報登録における情報の取り扱い」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
現在、わが国では外科医不足が喫緊の課題となっている一方で、外科医の適正配置と質についても問われている。このような状況の中で患者に最善の医療を提供していくためには、外科専門医のあり方を根拠に基づいて検討し、社会に示していくことが重要となる。また適正な医療水準を維持するために、必要とされる資源や適切な人員配置を明らかにするとともに、外科医が関与している外科手術を体系的に把握することが不可欠である。これらの目的を達成するために、外科学会を基盤とする各サブスペシャルティの学会が協働して、専門医制度と連携した外科症例登録のデータベース事業を行うこととなった。本事業は,日本全国の手術・治療情報を登録し,集計・分析することで医療の質の向上に役立て、治療成績の改善を目指すプロジェクトである。本事業に登録したデータを分析することで以下のことを明らかにすることができる。すなわち、
- 手術を行っている施設診療科の特徴
- 医療水準の評価
- 適正な専門医の配置
- 手術を受けた方の予後
- これから手術を受ける方の死亡・合併症の危険性、など
これにより各診療科は自診療科の特徴や課題をより明確にすることができる。そして診療科、施設単位だけでなく、地域レベル、全国レベルで医療の水準を明らかにして、地域単位、国単位で比較することもできるようになる。また術前のリスクをより精確に評価できるようになり、その情報を用いて患者さんやその家族と手術・治療の方針を検討することができるようになる。さらに全国の皆様に手術・治療を提供できるようにするため、よりよい専門医制度のあり方を検証するための基礎資料ともなる。加えて、さまざまな臨床研究・介入研究と連携して運営することで、データ登録を一元化し、データ入力にともなう負担を軽減することも期待される。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 乳腺外科医長
武内 秀也 - 申請課題
- 2010-013
「一般社団法人National Clinical Database (NCD)の外科手術・治療情報データベース事業での手術・治療情報登録における情報の取り扱い」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
現在、わが国では外科医不足が喫緊の課題となっている一方で、外科医の適正配置と質についても問われている。このような状況の中で患者に最善の医療を提供していくためには、外科専門医のあり方を根拠に基づいて検討し、社会に示していくことが重要となる。また適正な医療水準を維持するために、必要とされる資源や適切な人員配置を明らかにするとともに、外科医が関与している外科手術を体系的に把握することが不可欠である。これらの目的を達成するために、外科学会を基盤とする各サブスペシャルティの学会が協働して、専門医制度と連携した外科症例登録のデータベース事業を行うこととなった。本事業は,日本全国の手術・治療情報を登録し,集計・分析することで医療の質の向上に役立て、治療成績の改善を目指すプロジェクトである。本事業に登録したデータを分析することで以下のことを明らかにすることができる。すなわち、
- 手術を行っている施設診療科の特徴
- 医療水準の評価
- 適正な専門医の配置
- 手術を受けた方の予後
- これから手術を受ける方の死亡・合併症の危険性、など
これにより各診療科は自診療科の特徴や課題をより明確にすることができる。そして診療科、施設単位だけでなく、地域レベル、全国レベルで医療の水準を明らかにして、地域単位、国単位で比較することもできるようになる。また術前のリスクをより精確に評価できるようになり、その情報を用いて患者さんやその家族と手術・治療の方針を検討することができるようになる。さらに全国の皆様に手術・治療を提供できるようにするため、よりよい専門医制度のあり方を検証するための基礎資料ともなる。加えて、さまざまな臨床研究・介入研究と連携して運営することで、データ登録を一元化し、データ入力にともなう負担を軽減することも期待される。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第7回委員会審議
平成23年1月31日
- 申請者
- 副院長
酒井 浩徳 - 申請課題
- 2010-016
「自己免疫性肝炎の発症・進展に関わる遺伝因子の網羅的遺伝子解析(Genome-wide association study:GWAS)国内共同研究」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
-
自己免疫性肝炎(AIH)の発症および進展には、遺伝因子が関与すると考えられており、これまでに主にHLAや種々の分子の遺伝子多型と疾患感受性、病態との関連が検討されてきた。それらの検討の結果、日本ではHLA-DR4、欧米ではHLA-DR3が疾患感受性に関わる因子として同定され、特定の分子の遺伝子多型の遺伝子型がAIHの発症・進展に関与する可能性も示されている。一方、近年の遺伝子解析技術の進歩により、全遺伝子の遺伝子多型等を包括的に解析するGenome-wide association study(GWAS)が行われるようになり、従来の研究方法では同定することが不可能であった疾患の発症・進展に関わる新たな遺伝因子の同定が可能となってきている。
こうした背景をもとに、厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班(班長:坪内博仁)では、自己免疫性肝炎分科会(分科会長:恩地森一)・診断指針作成ワーキンググループ(責任者:銭谷幹男)を中心に、研究班分科会に参加する国内諸施設等の協力によるAIHの発症・進展に関わる遺伝因子のGWAS研究を計画している。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
- 申請者
- 薬剤科長
松本 憲治 - 申請課題
- 2010-017
「経口がん分子標的治療薬の投与量並びに適正使用に関する実態調査」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- 経口がん分子標的治療薬の開発と普及に伴い、がん化学療法の治療成績は著しく向上しつつあるが、欧米人と比較した場合、日本人における副作用の発現頻度は高いことが臨床上指摘されている。慢性骨髄性白血病治療薬イマチニブの標準投与量は諸外国と同量の400mg/日連日投与とされているが、日本人では副作用のため減量を余儀なくされる場合があり、200-300mgにおいても有効性は確保されるとの報告もある。また、投与量は副作用に応じて適宜調整されているが、欧米人に比べてアジア人では減量傾向にあることが指摘されている。その他、実地医療で使用されている多くの経口がん分子標的治療薬の本邦における標準投与量は欧米人と同等量であり、副作用発現に応じて投与量調整されているのが現状である。本年度、熊本県において経口がん分子標的治療薬の投与量実態調査をパイロット的に実施した結果、添付文書上の標準投与量より少ない投与量で処方されている症例が多いことが、第20回日本医療薬学会年会において報告された。以上の背景を踏まえ、新規分子標的治療薬の適正使用には標準投与量の維持が必要と考えているが、患者毎の副作用発現や重篤度により適宜増減されていることから、標準投与量と減量投与の実態究明は、薬剤師による患者の服薬指導・薬学的ケアのみならず、処方適正化に関する医師との協議等においても重要な基礎情報となることが期待される。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。
2010(平成22)年度 第8回委員会審議
平成23年2月28日
- 申請者
- 小児科医師
古賀 寛文 - 申請課題
- 2010-018
「九大ハイリスク新生児臨床研究ネットワーク」 - 申請の概要
-
- 医療行為及び医学研究の目的
- 九大小児科関連の新生児医療施設12施設において多施設共同臨床研究を行うインフラを整備する。12の関連施設から年間1000例程度のハイリスク新生児をデータベースに登録し、検査基準値など基礎的データの抽出、周産期合併症の病因検索、長期予後の調査や学童期の健康状態の評価を行うことを主な目的とする。
- 判定
- 承認
本報告は全員一致で承認された。