〒874-0011 大分県別府市大字内竈(かまど)1473番地
0977-67-1111(代) FAX:0977-67-5766

2012(平成24)年度 審議課題

第1回委員会審議 平成24年5月22日 審議内容
第2回委員会審議 平成24年7月30日 審議内容
第3回委員会審議 平成24年10月31日 審議内容
第4回委員会審議 平成24年11月29日 審議内容
第5回委員会審議 平成25年1月30日 審議内容
第6回委員会審議 平成25年2月27日 審議内容

2012(平成24)年度 第1回委員会審議
平成24年5月22日

申請者
循環器内科部長
重松 作治
申請課題
2012-001
「大分県急性心筋梗塞症例登録研究 Oita Acute Myocardial Infarction Registry(Oita AMI Registry)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
・1)研究要旨
大分県内における急性心筋梗塞の発症、入院ならびに治療の全体像を把握することにより、発症率・死亡率低下対策に寄与する因子を検討すること。そして、その結果を医療機関や県民に還元し、心筋梗塞発症予防や予後改善に役立てること、以上を目的とし大分大学医学部循環器内科を研究本部とし、心筋梗塞入院治療症例数、発症日時、発症場所、発症から来院までの時間、発症から再潅流までの時間、背景因子、血液生化学検査、心電図、左室駆出率、冠動脈造影、再潅流療法、冠動脈バイパス術、合併症、ディバイス植え込み状況、院内死亡等を調査する。また、慢性期の予後についても追跡調査する。
なお、本研究は大分県地域医療再生計画事業費に基づく臨床研究である。
解析結果については学会発表ならびに論文(報告書)により県内外で報告し、急性心筋梗塞発症予防ならびに予後改善に役立てる。なお、医療機関別および地域別のデータ解析は行わない。
主要評価項目
○高齢者(特に75歳以上)の急性心筋梗塞の特徴
副次評価項目
○非高齢者(65歳未満)の急性心筋梗塞の特徴
○発症から入院(治療)までの時間と予後の関係
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2012(平成24)年度 第2回委員会審議
平成24年7月30日

申請者
呼吸器外科医長
福山 誠一
申請課題
2012-002
「未治療高齢者非扁平非小細胞肺癌に対するペメトレキセド単独またはペメトレキセド/ベバシズマブ併用療法の第Ⅱ相試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
未治療高齢者非扁平非小細胞肺癌に対するペメトレキセド単独療法またはペメトレキセド/ベバシズマブ併用の有効性と安全性を検討し第Ⅲ相試験で行うレジメンを決定する。
主要評価項目
無増悪生存期間
副次評価項目
奏効率、全生存期間、有害事象、費用対効果
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
外科医長
武内 秀也
申請課題
2012-003
「術前トラスツズマブ+細胞障害性抗癌薬の併用療法後に病理組織学的完全奏効(乳房)の得られた症例の予後に関する調査研究」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
術前にtrastuzumabと細胞障害性抗癌薬との併用療法を施行したHER2陽性原発性乳癌患者における病理組織学的抗腫瘍効果と予後との関連性を調査する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
消化器科医長
良永 雅弘
申請課題
2012-004
「ヘリコバクター・ピロリ一次除菌療法としてのメトロニダゾールとクラリスロマイシンのランダム化比較試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

・1)研究要旨

H.pylori除菌は、胃・十二指腸潰瘍の治癒だけでなく、胃がんをはじめとするH.pylori関連疾患の予防となるため広く普及してきたが、除菌不成功例の増加が問題となっている。わが国では、一次除菌はプロトンポンプ阻害剤(PPI)倍量+アモキシシリン+クラリスロマイシン、二次除菌としてPPI倍量+アモキシシリン+メトロニダゾールが保険適用となっている。近年、クラリスロマイシンの耐性率も2000年度の7%から2006年度には27%に増加し一次除菌率は約75%まで低下してきている。一方、メトロニダゾールの耐性は5-10%で推移し、二次除菌の成功率は約90%が維持されている。Maastricht Ⅲ Consensus Reportでは一次除菌は国あるいは地域の耐性状況を考慮してアモキシシリン,クラリスロマイシン,メトロニダゾールの中から2剤を選択するよう勧告している。

クラリスロマイシンの急速な耐性化傾向を考慮すると、保険で指定されたクラリスロマイシンによる一次除菌レジメンを変更すべき時期にきているが、エビデンスとして採用可能な大規模無作為化比較試験のデータはない。本研究では、H.pyloriに対するメトロニダゾールあるいはクラリスロマイシンによる一次除菌の有効性と安全性についての多施設共同無作為化比較試験を施行する。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2012-005
「抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集を目的とした国立病院機構職員を対象とするB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性及び皮下投与法と筋肉内投与法の比較に関する検討(平成24-25年度厚生労働科学研究費補助金)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

1)研究要旨

血液製剤である抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)は、我が国においては、①B型肝炎母子感染予防、②B型肝炎ウイルス汚染針による針刺し事故後の感染予防、③B型肝炎患者の移植後のB型肝炎ウイルス再活性化予防、などを目的とする医療医薬品として広く用いられている。一方、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」では、国内で使用される血液製剤が原則として国内の献血により得られた血液を原料として製造される体制の構築を目指すとされている。これに基づいて出された「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」(平成20年厚生労働省告示第326号)では、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤については、平成25年を目途に国内自給の達成を目指し、特殊免疫グロブリン製剤については、国内での原料血漿確保の実現可能性を考慮しながら、国内製造の方策を引き続き検討していくことが明らかにされている。

現在、我が国で使用されている特殊免疫グロブリンは3種で、うち抗破傷風および抗Rh(D)人免疫グロブリンの2種は原料血漿の全てを海外からの輸入に依存しているが、抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)の一部は国内献血血漿を原料に製造されている。これらの血漿は日本赤十字社が全献血者を対象に高力価の抗体を有する血漿を選別しているが、この受動的収集方法では限界があり、その自給率は3%にも満たない。したがってHBIG自給に必要な量の原料血漿を国内献血により確保するためには、より積極的、能動的収集法を考慮する必要がある。その一つに同意が得られた献血者にB型肝炎ワクチン(HBワクチン)を接種して抗体価を上昇させた後に供血頂く方法が考えられる。しかし、HBワクチン接種はB型肝炎ウイルスの感染予防を目的になされるため、初回の接触者ではHBIG原料血漿基準を満たす高力価の抗体(EIA:10000mIU以上)を獲得する人の割合は極めて低い事が既に分っている。そこで、現在もしくは過去にHBs抗体を保有する事が確認されている者(感作者)を対象にワクチンを接種した場合、より効率的に高力価抗体保有者を見出し得ると期待される。

本研究は感作者へのワクチン接種による抗体価上昇を調査し、HBIG用抗体高力価血漿収集のための基礎的資料を作る事を目的とする。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
副院長
酒井 浩徳
申請課題
2012-006
「B型慢性活動性肝炎に対するPEG-IFNα-2a単独療法の有効性および安全性に関する検討(九州肝疾患治療戦略研究会共同研究)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

1)研究要旨

B型慢性肝炎の治療目標は、ウイルス増殖の持続抑制と肝病変の改善であり、最終治療目標は肝硬変、肝不全、肝癌への進展抑制である。現在、国内で承認されているB型慢性肝炎の治療法には、肝炎の鎮静化を目的とした肝庇護療法と抗ウイルス療法があり、抗ウイルス療法に用いられる薬剤にはインターフェロン(IFN)製剤、核酸アナログ製剤(ラミブジン、アデホビルピボキシル、エンテカビル)がある。

核酸アナログ製剤は、経口投与のため利便性があり、IFN製剤と比べて問題となる副作用が少ないものの、ウイルスを陰性化し続けるために生涯にわたり長期的に投与する必要があり、耐性ウイルスの発現が問題となっている。一方、IFN製剤は治療期間が核酸アナログ製剤の様な生涯にわたる長期投与ではなく、限定された期間で一定の効果が期待できる。しかし、週3回の投与が必要な注射剤であり、治療に伴うインフルエンザ様症状等の急性症状、うつ病状、不眠症等の副作用は患者にとって負担となっている。

ペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2a製剤は、2011年9月に、既存のIFNでは適応のなかったHBe抗原陰性を含む全てのB型慢性活動性肝炎に対し保険診療が認められた。週1回投与による48週間の治療が可能となり、治療効果の向上と副作用の負担軽減につながることが期待されている。

以上の状況から、本臨床研究ではB型慢性活動性肝炎患者を対象として、PEG-IFNα-2a単独療法の有効性と安全性を検討すると共に、有効性に関わる因子の探索、HBs抗原定量の意義を明らかにすることを目的とする。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
外科医長
折田 博之
申請課題
2012-007
「5-FU系抗がん剤、L-OHP、CPT11 3剤の治療歴を有するKRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発 結腸・直腸癌患者に対するパニツムマブおよびS-1併用療法の有用性の検討 -第Ⅱ相臨床試験-(KSCC1103)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
5-FU系を含むレジメに1度以上増悪歴があり、KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発 結腸・直腸癌患者に対し、S-1+panitumumabの併用療法を行い、有効性と安全性を検討し、上位試験への基礎データとする。(臨床第Ⅱ相試験)
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
外科医長
折田 博之
申請課題
2012-008
「Ca/Mgおよび牛車腎気丸による支持療法下における大腸癌に対する術後補助化学療法としてのXELOX療法の効果・安全性確認試験(KSCC1201)」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
Ca/Mgおよび牛車腎気丸による支持療法下における大腸癌に対する術後補助化学療法としてのXELOX療法の効果と安全性を確認する。
主要評価項目
XELOX療法完遂割合
副次的評価項目
有害事象(特に末梢神経症状に関しては発現頻度および持続期間を各コース別、Grade別に評価する)、相対用量強度、無病生存期間、全生存期間
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
呼吸器外科医長
福山 誠一
申請課題
2012-009
「上皮成長因子受容体遺伝子変異(Exon 19 deletionまたはExon 21 point mutation)がない、または不明である非扁平上皮非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ併用療法施行後、維持療法として、ペメトレキセド+ベバシズマブ併用療法をベバシズマブ単剤と比較する第Ⅲ相臨床試験」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
カルボプラチン・ペメトレキセド・ベバシズマブ併用化学療法後の維持療法として、標準療法のベバシズマブ単剤療法にペメトレキセドを追加投与する意義を、生存期間延長効果をもって検証する。
主要評価項目
〇二次登録後の全生存期間
副次評価項目
〇二次登録後の無増悪生存期間
〇一次登録後の全生存期間
〇一次登録後の無増悪生存期間
〇有害事象
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

2012(平成24)年度 第3回委員会審議
平成24年10月31日

申請者
放射線科部長
添田 博康
申請課題
2012-010
仮性動脈瘤に対する血管塞栓術併用超音波ガイド下トロビン注入療法の許可並びに臨床研究に関する審査
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
近年、カテーテルによる血管内治療の増加により、カテーテル操作後の医原性仮性動脈瘤の形成が増加してきている。この医原性仮性動脈瘤に対しては,破裂予防を目的として、従来、外科的修復術や超音波プローブによる圧迫による治療施行されてきた.しかし、これらの治療法には,手術侵襲,治療中の不快感や再発等の問題点がある.海外では、仮性動脈瘤に対して、超音波ガイド下トロンビン注入療法の有効性が報告されている、すなわち、低侵襲かつ重篤な有害事象もなく、患者の不快感もほとんどなく,高い初期成功率(95%以上)と低い合併症率(2?3%)が報告されています[1].本邦では、トロンビンの血管内への注入は、添付文章にて禁忌とされているため、本治療法の施行は困難である。しかしながら、本邦からも、文献的には、十分な説明・同意のもとに本治療が施行され、有効症例の報告が、散見され、重篤な有害事象の報告も検索した範囲では確認できなかった。申請させていただいている、仮性動脈瘤内の血管内からの血管塞栓術に超音波ガイド下トロンビン注入療法を併用療法は、さらなる有効な治療効果が期待されるため、本医療行為の許可申請をさせていただく次第です。本医療行為を施行するに当たり、専用の同意書により、患者様および御家族に、十分な説明および同意を得たうえで施行する予定である。治療費については、トロンビン(1000-1500円)は血管内投与が禁忌のため、保険請求は不可能であるが、血管塞栓術の診療報酬(約16万円)にて、カバー可能である。また、本治療法を施行した患者様の治療経過や有効性に関しする臨床研究の審査もお願い申し上げます。研究における倫理的配慮は、個人情報の取り扱いには、十分に配慮いたします。

文献1Postcatheterization pseudoaneurysm: results of US-guided percutaneous thrombin injection in 240 patients .Krueger K,et al. Radiology. 2005 Sep;236(3):1104-10

判定
不承認
本報告は不承認された。

2012(平成24)年度 第4回委員会審議
平成24年11月29日

申請者
乳腺外科医長
武内 秀也
申請課題
2012-011
HER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者を対象としたベバシズマブとパクリタキセルの併用療法の有用性を検討する観察研究
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
手術不能又は再発乳癌を対象とした化学療法としての一次治療または二次治療におけるベバシズマブとパクリタキセルの併用療法の有効性と安全性を評価する
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
呼吸器内科医長
澤部 俊之
申請課題
2012-012
プラチナ製剤併用不耐の進行・再発非小細胞肺癌に対するDocetaxel+Bevacizumab併用療法の有効性・安全性とBevacizumabの効果予測となるバイオマーカーの検討
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
プラチナ製剤併用治療不耐の進行・再発非小細胞肺癌を対象としてドセタキセルにベバシズマブを併用した治療法の有効性・安全性とベバシズマブの効果予測となるバイオマーカーを検討する
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

平成25年度 第5回委員会審議
平成25年1月30日

申請者
眼科医師
神田 愛子
申請課題
2012-013
ぶどう膜炎における疾患感受性遺伝子の検索
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
ベーチェット病などのぶどう膜炎の発症は、IL23R/ILRB2、IL10遺伝子などと関係がある可能性が指摘されており、他にも重症度や治療薬に用いられる副腎皮質ステロイドの効果が遺伝子的差異と関連している可能性が考えられている。しかし、ぶどう膜炎に関する日本人の詳細な遺伝子研究はまだされていない。そのため、本研究はぶどう膜炎における疾患感受性遺伝子を検索することで、ぶどう膜炎の発症、重症度、治療効果と遺伝子との関連を検証することを目的としている。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
眼科医師
神田 愛子
申請課題
2012-014
緑内障における疾患感受性遺伝子の検索
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
緑内障の発症や治療薬に用いられるプロスタグランジン眼圧下降薬の効果、病型(解放隅角緑内障・正常眼圧緑内障・落屑緑内障・発達緑内障・ステロイド緑内障)などの個人差は、OPTN遺伝子・WDR36遺伝子等と関係がある可能性が指摘されている。しかし、緑内障に関する日本人での詳細な遺伝子研究はまだなされていない。本研究は緑内障の発症、病型、治療効果と遺伝子との関連を検証することを目的とする。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
眼科医師
神田 愛子
申請課題
2012-015
落屑症候群の遺伝子的背景に関するゲノムワイド関連解析研究
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
眼科疾患の発症や治療薬の効果などの個人差に、遺伝子の影響がある可能性が指摘されている。大分大学医学部眼科学講座では緑内障・ぶどう膜炎・眼内増殖性疾患の遺伝子研究が開始されている。遺伝子研究には対象患者が必要である。今回、緑内障・ぶどう膜炎・眼内増殖性疾患を有さない者の血液を用いて各疾患の遺伝子解析を行う。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
眼科医師
神田 愛子
申請課題
2013-016
眼科疾患における疾患感受性遺伝子の検索
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
緑内障は世界で6600万人の患者を数え、失明の主要原因に挙げられている。落屑症候群(XFS;exfoliation syndrome)の20%に落屑緑内障(XFG;exfoliation glaucoma)を発症する。落屑緑内障は治療に抵抗し、進行が早い。日本では50歳以上の3.4%に認められ、高齢になるに従ってXFS及びXFGの有病率は増加する。日本においては有病率が高い疾患であり、眼科臨床において大きな問題となっている。XFS及びXFGに関連する遺伝子としてlysyl oxidase like-1 protein(LOXL1)遺伝子異常が報告されているが、人種によってリスクアレルに差が見られる。また、落屑異常がLOXL1異常のみでは説明できない点も残っており、現在までの遺伝学的知見のみでは発症メカニズムを説明するには不十分である。XFS及びXFGに関係する遺伝子の研究は落屑症候群のより正確な診断と予後予測が可能になり、早期に治療を開始すれば無自覚のうちに視野欠損の進行を防止できると考えられる。現時点では落屑症候群、落屑緑内障を早期に確実に診断できる検査が乏しいため、本研究は重要な意義がある。XFS及びXFGの原因遺伝子および遺伝子座をゲノムワイド関連解析法を用いてコホート研究にて決定することを目的としている。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
産婦人科部長
角沖 久夫
申請課題
2013-018
日本産婦人科学会周産期登録
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
日本産婦人科学会が全国の周産期センター等を中心とした分娩症例の登録を行っており、そのデータベースは日本の分娩の約10%、周産期死亡の約30%を包含し、全出産児の周産期情報としては唯一最大のデータベースであり、これに参加し、登録する事によって、周産期学の発展に寄与すると思われる。別紙のごとく学会からの公的申請もなされており、当院でも周産期医療に貢献する目的で申請する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。

平成25年度 第6回委員会審議
平成25年2月27日

申請者
消化器外科医師
平下 禎二郎
申請課題
2012-019
ERCP後膵炎が膵頭十二指腸切除術に与える影響の検討
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

1)研究要旨

膵頭十二指腸切除術において、術前の胆道精査や黄疸改善のために内視鏡的逆行性胆管膵管造営(ERCP)が必要となることが多い。ERCPは合併症の多い検査のひとつであり、ERCP後膵炎はもっとも頻度の高い合併症である。膵炎は重症化すると致死的になることもある。膵頭十二指腸切除術は腹部手術の中では最も高度な手術のひとつであり、近年の医学の進歩により、手術関連死亡率は5%以下まで低下しているが、膵液瘻や胃排泄遅延などを含めた術後合併症は30-60%と依然高頻度である。

ERCP後膵炎は周囲組織への炎症の波及や癒着などを招き、その後の膵頭十二指腸切除術の手術操作や術後経過に影響を与える可能性があるが、ERCP後膵炎が膵頭十二指腸切除術の周術期因子に対して影響を与えているかは現時点では不明である。

本研究ではERCP後膵炎と膵頭十二指腸切除術の周術期因子との関係についてレトロスペクティブに検証する。対象は2009年から2012年までに当科で施行した膵頭十二指腸切除術38例とする。ERCP後膵炎(+)群と膵炎(-)群の2群に分け、膵頭十二指腸切除術における周術期因子として、患者背景(年齢、性別、BMI、診断)、手術(術式、手術時間、出血量、輸血)、術後経過(血液検査、膵液瘻、ドレーン抜去日、胃内容排泄遅延、在院日数)を検討する。

本研究は、文部科学省および厚生労働省の「疫学研究に関する倫理指針」 (平成19年8月16日全部改定)に従って実施し、すべて通常診療で行われた症例の診療録(既存資料のみ)を後ろ向きに統計学的に解析し、研究対象者に対して介入を伴わない(研究のための医療行為や試料採取がない)観察研究である。成果発表時には、個人を識別する情報は一切使用しないよう十分に配慮し、本研究の実施に際しては、特別な利益相反は生じない。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
リウマチ科部長
末永 康夫
申請課題
2012-020
日常診療における目標達成に向けた治療(Treat to Target T2T)実践のアウトカム測定のためのHAQ調査
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
現在、関節リウマチ(RA)の治療においては、「目標達成に向けた治療(Treat to Target、T2T)」を日常診療に取り入れる運動が世界中で展開されている。Treat to Targetの最終目的はRA患者のアウトカム改善であるが、T2T実践によってRA患者のアウトカム改善したことを示唆するエビデンスはない。そこで、本年(①T2T普及前群)及びT2Tが普及した時期(②普及後群、2年後を想定)に、HAQ-DIを指標としたRA患者の身体機能状態を調査し、日常診療におけるT2Tの実践がRA患者のアウトカムに与える影響について比較検討する。
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
泌尿器科部長
田崎 義久
申請課題
2012-021
ドセタキセル化学療法中、または治療終了後に進行した前立腺がん患者の治療実態調査(PROXIMA)
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
1)研究要旨
調査実施計画の主な改訂点は次の3点である。
(改訂前)最長12ヶ月から15ヶ月
(改訂後)最長24ヶ月
(改訂理由):患者の調査への参加期間は12~15ヶ月を予定していたが、登録時のPS、QOLが良好な症例が世界的に多くみられ、更に全生存期間が延長する可能性があると判断された。従って治療法別の1年時点での無増悪生存期間、治療法別の24ヶ月時点での全生存期間を調査することとなった。
添付資料:
①調査実施計画書改訂版1
③PROXIMA調査実施計画書 変更点一覧(第1.01版→改訂版第1版)
2.予定される合計患者数の変更
(改訂前)全世界で1500例
(改定後)全世界で900例:但し、日本での登録予定患者数の変更はなし。
(改訂理由):必要症例数についての再検討が行われ、目標数を減数した。
但し、日本国内の目標症例の変更は行われないため、各施設の目標症例の減数は実施しない。
添付資料:
①調査実施計画書改訂版1
③PROXIMA調査実施計画書 変更点一覧(第1.01版→改訂版第1版)
3.同意説明文書の改訂 Ver1.00→Ver2.00
添付資料:④同意説明文書(作成日2013年1月31日 版番号ver.2.00)

上記、実施計画書の改訂を踏まえて、調査参加人数(世界各国合計900人)の変更、患者の調査参加期間を24ヶ月に変更した。

24ヶ月目の調査については、生存調査となる可能性が高いため、電話により健康状態をお尋ねする可能性があることを記載した。

既に同意取得済み患者においては、再同意を試み、再同意取得者については24ヶ月目の調査を実施する。

同意を得られなかった患者については、当初の同意書の通り12~15ヶ月で調査を終了する。

判定
承認
本報告は全員一致で承認された。
申請者
消化器内科医長
良永 雅弘
申請課題
2012-022
消化管神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的切除術の成績に関する多施設共同研究
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的

1)研究要旨

目的
消化管神経内分泌腫瘍(NET)のWHO分類が2010年に改訂され、Ki-67指数や核分裂像数の細胞増殖動態に基づいた分類となった。消化管NETで移転のリスクが小さいと考えられる腫瘍に対して内視鏡的切除術が施行されるが、その適応に関するエビデンスは少なく、また、これまでの報告は旧分類であるcarcinoidに関して検討されたものである。そこでこれまでに消化管NETに対して内視鏡的切除術が施行された症例の治療成績をレトロスペクティブに検討し、また、新WHO分類を用いた病理組織学的診断を行う事により、消化管NETに対する内視鏡的切除術の有効性、安全性や治療適応の妥当性を明らかにする。
対象
当科および共同研究施設において消化管NETに対して内視鏡的切除術を施行した患者を対象とする。
方法
対象患者の臨床情報、治療情報、病理診断結果、治療後の経過をレトロスペクティブに調査する。内視鏡的切除標本を用いて、2010年WHO分類に基づいた消化管NET診断を行う。
評価項目
年齢、性別、内視鏡的切除術施行日、内視鏡所見、内視鏡手技、治療時/後の合併症の有無、腫瘍局在、腫瘍径、病理組織診断、深達度、切除断端、脈管侵襲の有無、Ki-67指数、核分裂像、TNM分類、追加手術の有無、最終生存確認日、再発の有無、死亡の有無
エンドポイント
生存率、再発率、合併症発生率
予定登録数
約150例
判定
承認
本報告は全員一致で承認された。