病理診断科

活動方針
病理組織診断
顕微鏡下に組織標本を見て病気の診断をするもので、検体としては内視鏡などで採取された直径数mmの小さなもの(生検)から手術で摘出された臓器までとなります。特にがんなどの悪性腫瘍においては『最終診断』の性格が強く、病理診断科における業務のうち最も重要なものです。当院における実績は年間約4,500件です。
術中組織診断
通常の病理組織診断においては顕微鏡標本ができるまでに約2日間を要しますが、この方法では凍結切片法により約20分で組織診断を行います。そのため、最適な手術方法を手術中に選択することができます。つまり、通常では1度手術を終え、病理診断の結果を踏まえて再度手術をするということになる可能性があるのですが、そのような2度手間を避けることができます。しかし、この診断法には正確性に難点があるため、そのリスクを検討し、患者さんと執刀医が十分に話し合った上で検体が提出されます。当院では年間約130件行っています。
細胞診
病理組織診断が組織という固体を対象とするのに対して、細胞診では尿、痰、分泌物などの液体を対象とします。つまり、液体成分の中にある細胞を顕微鏡で観察するのです。主にがん、あるいはがんの前段階の診断に重要です。この業務には細胞検査士という特殊技能(資格)を持った技師が活躍します。当院における実績は、年間約5,000件です。
カンファレンス
一口に「がん」といっても、1人1人の生き方や顔が違うように、「がん」細胞の顔つきや、そこから身体の中に生じることは千差万別です。そこで、個々人の治療方針を決める際に重要になってくるのがカンファレンスです。当科では他科とのカンファレンスを積極的に行っており、週に1~2回程度、患者さんの身体から採取した病理標本の写真を臨床医の先生と一緒に見ながら治療方針を話し合っています。現在、消化器科・呼吸器科・血液内科・産婦人科とそのようなカンファレンスを行っています。
病理解剖
不幸にして患者様がお亡くなりになったあと、ご遺族の許可をいただいて解剖が行われることがあります。ご遺体は数時間でご遺族の元に返還されますが、その後1,2か月をかけて病理学的な検討が行われ、最後に臨床病理カンファレンス(Clinicopathologic conference: CPC)において臨床医と病理医が意見を交換し知識を高め合います。病理解剖はご遺族の許可がいただけない場合は行われません。
症例報告など臨床研究活動
病理組織診断や細胞診において興味深い症例や他の病理関係者の注意を喚起するような例外的な症例などについて、研究会や学会において発表するとともに、学術雑誌に論文として発表するよう努力しています。また、臨床医による学会発表や論文の執筆にも病理学的側面から協力しています。年間実績(臨床検査分を除く)は学会発表2件、論文1件です。
診療実績
2022年1~12月
病理組織診断 | 4,514件 |
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術中迅速診断 | 152件 |
細胞診 | 4,540件 |
病理解剖 | 4件 |
スタッフ紹介
中園 裕一
- 専門領域
- 病理学一般
- 専門性資格
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- 日本病理学会認定病理専門医
- 日本病理学会学術評議員
- 日本臨床細胞学会認定細胞診専門医
- 臨床検査管理医
- 初期臨床研修認定指導医