〒874-0011 大分県別府市大字内竈(かまど)1473番地
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眼科

治療方針

眼科の治療方針

眼科全般における各疾患に対して質の高い医療を提供出来るように努力しています。

眼鏡処方とコンタクトレンズ販売は行っていません。またより高度な施設での加療が必要と判断された場合は大学病院等へご紹介させて頂くこともあります。

網膜硝子体疾患

平成23年2月に最新の光干渉断層計(OCT)を導入して種々の網膜硝子体疾患に伴う黄斑病変(黄斑浮腫、黄斑上膜、黄斑円孔、強度近視黄斑分離症など)に対する薬物療法、硝子体手術を行っています。

糖尿病網膜症の管理・治療は当院内科の糖尿病専門医と連携しながら行っています。網膜症に対するレーザー治療、硝子体出血、増殖網膜症に対する硝子体手術のみならず血管新生緑内障などを生じた重症例に対する手術も行っています。裂孔原性網膜剥離に対しては硝子体手術・強膜内陥術を症例に応じて使い分けています。

平成23年度~広角観察システム+25ゲージ手術システムを使用しています。

白内障

ご開業の先生方では対応困難な白内障を主体に行っております。当院では全身合併症を有する患者さんが多く、入院主体で白内障手術を行っています。原則片眼手術で4日入院となります。日帰り手術につきましては現在対応しておりません。乱視矯正眼内レンズは取り扱っておりますが、多焦点眼内レンズは取り扱っておりません。

緑内障

定期的な視野検査を行いながらの点眼治療が中心ですが、必要な患者さんには手術治療も積極的に行っています。線維柱帯切開術(流出路再建術)と線維柱帯切除術(濾過手術)・インプラント挿入術を患者さんの状態に応じて使い分けています。

ぶどう膜炎

全身疾患を伴うことも多いぶどう膜炎での各種検査を他科との連携を取りながら行えます。

斜視、弱視

小児の斜視、弱視治療、成人の斜視治療も行っております。

診療実績

2019年~2022年 DPC集計

疾患 術式 2019 2020 2021 2022 総計
水晶体、硝子体 水晶体再建術 291 294 300 257 1142
硝子体茎顕微鏡下離断術 127 91 103 52 373
その他 2 2 1 5 10
増殖性硝子体網膜症手術 2 7 4 2 15
小計 422 394 408 316 1540
ぶどう膜 緑内障手術(濾過手術) 20 22 17 4 63
緑内障手術(流出路再建術) 9 25 21 4 59
その他 3 3 4 16 26
網膜復位術 2 7 3 2 14
小計 34 57 45 26 162
眼瞼 眼瞼下垂症手術 17 14 14 13 58
眼瞼内反症手術 6 9 12 12 39
その他 4 2 1 7
小計 27 25 27 25 104
結膜 翼状片手術(弁の移植を要するもの) 4 3 4 1 12
その他 3 3 3 1 10
小計 7 6 7 2 22
角膜、強膜 角膜・強膜異物除去術 2 7 3 12
小計 2 7 3 12
眼球、眼筋 その他 4 3 2 9
小計 4 3 2 9
眼窩、涙腺 その他 1 1 1 3
小計 1 1 1 3
涙嚢、涙管 その他 1 1 2
小計 1 1 2
総計 497 486 497 374 1854

スタッフ紹介

清崎 邦洋

専門領域
眼科一般
専門性資格
  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • 日本ICD制度協議会認定感染症対策専門医
  • 身体障害者福祉法指定医
  • 小児慢性特定疾病指定医
  • 難病指定医

福井 志保

専門領域
眼科一般
専門性資格
  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • 身体障害者福祉法指定医

蔭山 徹

専門領域
眼科一般

硝子体手術って?

硝子体は水晶体の後方にある無色透明なゼリー状の組織で元来は眼内の環境を整えたり、衝撃に対するクッションとして機能していますが眼の病気の原因となることもあります。

数十年前、当初硝子体という部分は手術において触れてはない、手を出してはならないものとされてきました。

近代硝子体手術は1970年にロバート・マカマーによって初の硝子体カッター(家庭用の電動ドリルを改造したものを自宅のガレージで組み立てたそうです)生み出されてから始まりました。当時は術中合併症の対処法は全く知られておらず、極めて危険な手術というレッテルを貼られていました。その後、マレーらによる硝子体を吸引するカッターと灌流装置、照明を分離する3ポートシステムによって切開創は3.3mmから1.35mmとなり、ロータリー式より安全なギロチン式のカッターが登場し今に繋がる基本構造が出来上がっています。(この20ゲージシステムは近年まで続いています)

近年の特徴としては、1つはここ10数年の間に25ゲージ、23ゲージ、27ゲージの手術システムが開発され急速に普及してきていることです。器具を単純に小さくすれば良いというものではなく、その開発には相当な苦労があったと思われますが器具・創口が小さくなり、器具を出し入れする際に筒状のトロッカーを使用することでより低侵襲(一部無縫合も可能)に手術が行えるようになってきていることと、もう1つはキセノン・LED光源とより広い範囲の眼底視認が可能になる広角観察システム、硝子体可視化剤による観察系の進歩により治療する側・される側の負担が減少していることです。

手術の適応について

硝子体手術の適応は大きくふたつです。1つは硝子体中の混濁を取り除き光路を再建する場合と、もう1つは硝子体自体の網膜牽引による病態を改善する場合です。前者としては硝子体出血・硝子体混濁等が、後者としては※若年者を除く網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、糖尿病や静脈閉塞による循環障害・硝子体炎による黄斑浮腫、黄斑上膜、黄斑円孔、病的近視からの黄斑分離症等があります。また細菌・真菌・ウイルス感染に対し薬剤灌流・移行性改善目的にも手術することがあります。近年の特徴としては手術リスクの低減によって相対的に手術適応が拡大してきています。

※若年者(主に30代まで)の網膜剥離は一部の増殖硝子体網膜症と呼ばれる重症例を除き基本的には強膜内陥術と呼ばれる術式が適応とされています。

実際の治療について

低侵襲化に伴い米国等の海外や日本でも一部の先進的な施設では日帰り手術が始まっていますが当院では点眼(実際結構難しいです)や各種術後管理を確実なものとしより安全に治療するために手術の1~2日前に入院して頂き、前投薬として抗生物質の点眼を開始し当日は局所麻酔ならば球後麻酔処置後にヨード剤で洗眼し手術施行しています。麻酔により疼痛・眼球運動は抑制出来ますが患者さんは覚醒状態です。近年の手術時間の短縮によって局所麻酔下の手術が増加しています。手術時間は30分以内で終わることもありますが、平均すると1時間弱です。(重症例では全身麻酔で数時間に及ぶものもあります)

術後の入院期間は眼内に網膜を押さえる気体を入れる場合は10日、そうでない場合は約1週間程です。退院の基準はこちらから見て術後状態が十分に外来においてコントロール可能な状態と判断された場合としています。また黄斑円孔の治療の際、術後顔を下に向けて頂く「face down」という姿勢制限がつきますが、これは多くの人にとって苦痛でもあります。近年の研究から通常の黄斑円孔の術後そこまで何日もの下向きを続けなくても良いのではないか?という我々が参加した研究論文で言われており、当院では翌朝まで下向きを頑張って頂き、そこで円孔閉鎖がある程度確認出来れば姿勢制限を解除しています。

参考文献

  • Individualized, spectral domain-optical coherence tomography-guided facedown posturing after macular hole surgery: minimizing treatment burden and maximizing outcome.
  • Yamashita T, Sakamoto T, Yamashita T, Sonoda S, Yamakiri K, Otsuka H, Hisatomi T,
  • Imaki H, Ishibashi T, Dugel PU. Retina. 2014 Jul;34(7):1367-75.